極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
「とりあえず風呂に入るか」

「樹くん、先に入っちゃって。ずっと運転してくれてたから疲れたでしょ? 私、今日はシャワーでいいから」

「俺もシャワーだけでいいから、芽衣が先に入っておいで」

「ダメダメ。今日も至れり尽くせりだったし、ここは譲れません。シャワーくらい先に浴びてくれないと、私が嫌なの」


強引に言い切れば、樹くんが苦笑交じりに折れてくれた。


交代でシャワーを浴びると、なんだかどっと疲れが押し寄せてきた。
水族館と公園ではよく歩いたし、それでなくても朝からずっと出掛けていたから体力の限界が近いのかもしれない。


髪を乾かすのも面倒になってきて、適当にドライヤーを当ててリビングに戻った。
すると、樹くんが炭酸水を片手に寛いでいた。


「ビールか酎ハイでも飲む? 明日も休みだろ?」

「ううん、今日はやめておく。今飲んだら、リビングで寝落ちしそうだもん」


ソファに座れば微睡みそうだけれど、ずっと運転してくれていた彼を置いて先に自室に行くのも気が引けて、冷蔵庫から出した水を持って肩を並べる。

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