極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
けれど、わずかな動揺を隠し、必死に平静を装う。普段通りの営業スマイルで、カップを受け渡しカウンターに置いた。


「ありがとう」


たぶん、彼は私の心情を見透かしていたんだと思う。そう言った声に、微かに愉しげな雰囲気が混じっていた。


樹くんは、今日は早朝から大阪(おおさか)にある関西国際空港に行っていたはず。戻ってきてからは、まだあまり時間は経っていないだろう。


この場で訊くわけにはいかない私に、彼は周囲に聞こえないように「さっき戻ってきてデブリが終わったところなんだ」と口にした。


「香坂くん、行きましょう」


どう答えればいいのかわからないでいると、樹くんの後ろにいた女性が笑みを浮かべる。パイロット制服を着ている彼女は、同僚のようだった。


私より少し高い身長に、綺麗にくびれているウエスト。女性らしく柔らかそうな体型にも笑顔にも、私にはないような色気があった。
彼と並んでいても、違和感がないどころかお似合いすぎる。

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