極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
コーヒーを受け取ってお礼を言うと、朗らかな笑みを返された。


「ここの日替わりランチ、小鉢で数種類のおばんざいが出てくるの。海外では洋食ばかりだから、日本にいるときは和食が食べたくて。海外にもおいしいものはたくさんあるけど、やっぱり日本食が一番おいしいと思うのよ」


これまでの馬場園さんは、なんとなくプライドが高そうに見えて、近寄りがたい雰囲気があった。けれど、こうして話してみると、気さくで優しい。


彼女に対して持っていたイメージががらりと変わり、なんだか申し訳なくなった。


「芽衣さん……でいいかしら?」

「あ、はい」

「ありがとう。私のことも気軽に呼んでね」


いきなり名前で呼ぶ勇気はないけれど、優しい笑顔に応えるように微笑む。


馬場園さんはランチに箸をつけながら、樹くんと同期であることや研修で一緒にアメリカに行ったときのことなどを話していた。
私は余計なことを言わないように相槌を打っていると、ふと彼女が眉を下げた。


「……ダメね。こういう話がしたいわけじゃないのに」

「え?」

「回りくどい訊き方は好きじゃないんだけど、まだ動揺してるみたい」


なんの話をされているのかわからずにいると、馬場園さんが息を吐いた。

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