初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「ステファニー!?」
「ミ、ミッチーこそ、本当に?」
「知ってるくせに」
「知っていても、言葉にして言って欲しいものなのです!」
「そうだな。……そんな簡単なことが、私には分かっていなかった。ちゃんと知ることができたのは、君のおかげだ」

 それから私は、寝台の上に座り、ステファニーの瞳を見ながら、沢山愛を囁いた。
 ひとしきり私の言葉を聞いたステファニーは、「どうしてこんなに手慣れてしまいましたの」「昨日までの恥じらうミッチーも捨てがたかったのに」とぶつぶつ言いながら、それはそれは嬉しそうに微笑んでいる。

 微笑んでいる。

 微笑んで――魔法で、鞭を作り出した。


「え?」
「ミッチー、わたくし沢山勉強してきましたの。ミッチーのために、色々と考えて用意しましたのよ!」


 ウキウキのルンルンで、闇魔法で色々な道具を作り出すステファニーに、私は蒼白になりながら「えっ」「あの」「待っ」「ちょ」と言葉にならない声を漏らす。
 しかし彼女は止まらない。
 鞭を片手にそう言って笑う妻は、悪魔のように美しかった。

 今日、これから一体、何がどうなるのだ。正直、逃げ出した方がいいんじゃないか。胸の内から、初夜(リテイク前)のように拒絶の悲鳴が湧き上がってくる。怖い。とにかく怖い。

 しかしここで私は逃げる訳にはいかない。もう仲直りをするための休暇期間は残されていないのだ。

(ステファニーは一体、何をする気なのだ……どこを目指しているのだ……)

 血の気が引く思いで向き合う私に、ステファニーは残酷な言葉をかける。


「ミッチー、今日はきっと楽しい夜になるわ。沢山わたくしを愛してね」


 にっこりとそれはそれは美しい笑みを浮かべる彼女に、何をどう言い繕って誤魔化すか必死に考える。

 しかし、新婚2週間にして彼女の尻に敷かれている私は、最終的に諦めの境地に至るのだった。





〜終わり〜


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