初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「……お優しいのですね。わたくしが泣いているから、はっきり言いづらいのでしょう?」
「え!? ち、違うぞステファニー! わ、私は……」
「違う? では、わたくしを愛しているの?」
「……!? そ、それは、その……」

 私はステファニーを愛しているのだろうか!?

 今まで正直、考えたこともなかったので、すぐに返事を返すことができない。

 ずっと漠然と、ステファニーは私のことが好きで、私は彼女から逃げるのを諦めたのだから、これからは今までの関係のまま、ずっと一緒にいるのだと思っていた。
 だから、彼女がいなくなるのは困る。

 けれども、そんな思いだけで「愛している」と嘘をついても、彼女は見抜いてしまうだろう。

 わ、私はどうしたら……。

 しどろもどろになっていると、彼女は諦めたような、絶望したような顔をして、私の頭をそっと撫でた。

「今までありがとうございます。沢山夢を見させてもらいました」
「ステファニー、待て!」
「わたくし、お金稼ぎは得意ですから、慰謝料も沢山払えますわ。離縁も白い結婚も愛人も、あなたのためなら受け入れます。でもね、あなたを愛していて……昨日まで、あなたからも愛されていると思っていたから……今後あなたに愛されることがないという事実を受け入れるために、少し時間が必要ですの」

 泣きながら、それでも笑顔で話す彼女に、私は言葉が出なかった。

 どちらかというと、手が出そうだった。
 彼女を抱きしめたい。こんなふうに泣かせたくないし、私から離れていってほしくない。

 だけど、私はステファニーの鞭で縛られたまま、彼女に指一本触れられない状況だった。
 本当に、彼女が絡むといつもこれだよ!

 正直、私は自分が彼女を愛しているのか、良く分からない。この結婚についてもついさっきまで、政略結婚だしまあ仕方ないか、ぐらいに思っていたしな。

 だが、昨日の言葉が彼女を傷つけたのだから、私に言えることは、そうだこれだ!

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