初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい
「……それで、私のところに遠距離通話してきたのか」
呆れたような声でそう言ってきたのは、バーナード=バジョットだ。
バジョット伯爵家特有の燃えるような真っ赤な髪に橙色の瞳が特徴的なガタイのいいこの男は、セイントルキア学園時代のクラスメートである。
今回の件を相談するならば、私だけでなくステファニーのことも知っている相手の方がいいと考えた私は、セイントルキア学園時代のクラスメート達を思い浮かべた。
しかしながらよく考えると、仲の良い友人達は6日前の結婚式に呼んでしまったので、ほとんどがまだ自領に戻る旅路の最中である。しかも、遠距離通話は有線で繋ぐ必要があり、高価で整備に金がかかるので、各領地の領主邸や軍事本部等の主要な場所にしか置かれていない設備だ。
領主邸や軍事本部の遠距離通話を自由に使うことができるクラスメート……。
そこで白羽の矢を立てたのが、このバーナード=バジョットである。
バーナードはバジョット伯爵家の長男なので、セイントルキア学園卒業後はバジョット伯爵領にある伯爵家本邸に戻っていた。しかも、結婚式に参列していない。いや、元々は私達の結婚式にも参列する予定だったのだが、バジョット伯爵が体調不良で倒れてしまったため、次期伯爵として領地を離れられなくなってしまったのだ。そして何より、私ともステファニーとも割と仲が良いのである。
「頼む。お前は俺と同じく図体だけがでかい無愛想かつ無神経な男のくせにモテると聞いたぞ。何が秘訣なんだ」
「それが人にものを頼む態度か!」
「本当に困っているんだ。やはり脳筋がいいのか。日に焼けた方がモテるのか」
「お前は一体どこを目指しているんだ」
「円満な夫婦関係だ」
心底困り果てている様子の私に、最初はビキビキと血管を浮き上がらせていたバーナードも、諦めたように息を吐く。