初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい
「だが、どうやらこの性格は、その……領地外だともの凄く異性ウケがいいらしい」
「伝聞なのか?」
「それはまあ、そうだ。私には想う女性がいるから、女性関係は控え目にしていて、実感がないんだ」
「そうなのか!? 今まで聞いたことがないんだが、相手は誰だ!?」
「すまないがお前にだけは絶対に言えない」
「私にだけ!?」
それから、どんなに頼んでも下手に出ても、リシャールの奴は私に誰に懸想しているのか教えてくれなかった。
そして、「そのうち分かるから」「無理はするなよ」「ミリアさんによろしく」とそれだけ言って、奴は通話を切ってしまったのだ。
私は不満タラタラの顔で廊下を歩いていると、一つ年下の双子の妹マリアリーゼとミリアリーゼがこちらに歩いてきていた。
「マリア、ミリア」
「あら、お兄様。対策は練れたのかしら?」
「……」
「兄様のために、一応恋愛小説もいくつか見繕ってきたのだけれど」
「な、何ッ!?」
私は二人が抱えている書籍を奪うようにして受け取る。
そういえば、先ほどまでの友人達の会話からすると、二人はバーナードとリシャールと知り合いのようだった。
1学年違うとはいえ、バーナードもリシャールも妹達も、セイントルキア学園の生徒だったのだ。学園内で顔見知りになったのだろう。
学園といえば、卒業したばかりの私達と違って、一つ年下の妹達はまだ在学生だ。私の結婚式に参加するために領地に戻ってきてはいたけれども、そろそろ学園のある王都に帰還しなければならない頃だ。もっと早めに戻る予定だったのに、私とステファニーのために滞在を長くしてくれているのだろう。申し訳ないことだ。
「二人とも色々と本当にありがとう。この本も助かった。よかった、バーナードとリシャールに聞いたけどいまいち自信がなかったからな」
「バッ!?」
「に、兄様? リシャール様に連絡を取ったの?」
「……? ああ、色々と話を聞かせてもらったんだ。あいつらはモテるらしいから、まあまあ参考になったぞ」
「何ですってぇ!? バーナード様から何を聞きましたの!」
「……?? 何って、女性の口説き方に決まっているだろう」
「それで!? それで、リシャール様はなんておっしゃってましたか!?」