筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
私は婚約者の名前くらいしか知らない。
斑目民人さん。
金融関係からエネルギー開発関連事業まで手掛ける斑目グループの御曹司。
東条家と斑目家はたしか祖父の祖父の代からのお付き合いだとか。祖父の代で当主同士が同い年でウマがあったとかで結びつきが強くなって〝孫が生まれたら結婚させて、より絆を強くしよう〟ってことになったらしい。
人権って何だっけ? って感じだけど、当主の決定が絶対の世界だ。そうでなくても、父と母も政略的なお見合い結婚だった。
その後、斑目家に生まれた男孫が民人さん、東条家に生まれた女孫が私だったから私たちは生まれる前から婚約者なのだ。感染症の件もあって、斑目グループはより一層東条を傘下に入れたいらしい。
私が25歳になったら結婚する予定だったけど、「もう少し社会人を経験しておきたい」って無理を言って27歳まで待ってもらっている。
今が26歳と9か月だから、早ければあと3か月、遅くとも約一年で結婚することになる。
「小夜ちゃんて婚約者に会ったことないんだっけ?」
この日も好き勝手に抱かれたベッドの中で筒井くんに聞かれた。
「うん」
「会ってみたくないの?」
婚約者についての質問は嫌い。正直言って面倒くさい。
「興味ないし、嫌でもいつかは毎日顔を見るようになるのよ? わざわざ会う必要なんてないでしょ」
ついつい不機嫌さを滲ませた口調で言ってしまう。
「ふーん。そんなに嫌いなんだ」
私は小さく「はぁ」と溜息をついた。
「前にも言ったけど、嫌いなのは先が決まったこの環境。相手のことは好きも嫌いも無いの」
斑目さんには必要以上に興味を持ったことが無いんだから。
「……でも、斑目さんは多分良い人よ」
「なんで?」
「いつもメールをくれるの」
「それだけ?」
「それだけ」
斑目民人さん。
金融関係からエネルギー開発関連事業まで手掛ける斑目グループの御曹司。
東条家と斑目家はたしか祖父の祖父の代からのお付き合いだとか。祖父の代で当主同士が同い年でウマがあったとかで結びつきが強くなって〝孫が生まれたら結婚させて、より絆を強くしよう〟ってことになったらしい。
人権って何だっけ? って感じだけど、当主の決定が絶対の世界だ。そうでなくても、父と母も政略的なお見合い結婚だった。
その後、斑目家に生まれた男孫が民人さん、東条家に生まれた女孫が私だったから私たちは生まれる前から婚約者なのだ。感染症の件もあって、斑目グループはより一層東条を傘下に入れたいらしい。
私が25歳になったら結婚する予定だったけど、「もう少し社会人を経験しておきたい」って無理を言って27歳まで待ってもらっている。
今が26歳と9か月だから、早ければあと3か月、遅くとも約一年で結婚することになる。
「小夜ちゃんて婚約者に会ったことないんだっけ?」
この日も好き勝手に抱かれたベッドの中で筒井くんに聞かれた。
「うん」
「会ってみたくないの?」
婚約者についての質問は嫌い。正直言って面倒くさい。
「興味ないし、嫌でもいつかは毎日顔を見るようになるのよ? わざわざ会う必要なんてないでしょ」
ついつい不機嫌さを滲ませた口調で言ってしまう。
「ふーん。そんなに嫌いなんだ」
私は小さく「はぁ」と溜息をついた。
「前にも言ったけど、嫌いなのは先が決まったこの環境。相手のことは好きも嫌いも無いの」
斑目さんには必要以上に興味を持ったことが無いんだから。
「……でも、斑目さんは多分良い人よ」
「なんで?」
「いつもメールをくれるの」
「それだけ?」
「それだけ」