この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
束の間のランチをライアンと過ごし、午後の仕事に取り掛かる。

新生児ICUには保育器に入った未熟児や、いろいろな疾患を抱えた乳児達が集まり、一人一人に違う対応をしなければならない。

心菜はサポート役に徹して看護師達と連携しながら、オムツを替えたりミルクを飲ませたり、身体を拭いたりと比較的軽い仕事を任されている。

今、乳児は15人。

看護師6人にサポーターが心菜を含めて2人、医師は3人という体制で対応に当たっている。

15人もの赤ちゃんがいれば毎日本当に大忙しで、1人が泣き出すと連鎖反応で何人か泣き出すから、心菜はその対応で一日中バタバタと忙しなく働いている。

小さな身体で一生懸命に生きている赤ちゃんを間近で見る事が出来て、自分の子に対しても以前よりも倍に愛おしさが込み上げる。

夕方16時に勤務を終えて、歩いて10分ほどの道のりをゆっくりと散歩しながら帰るのが日課だ。

蓮が見つけてきた借り家は立派な一軒家で、治安が良い高級住宅街にある。

この一区画に入る時は、警備員がいるゲートを通り抜けなければいけない程の徹底した警護地区だった。

セレブ感漂う住宅街を歩く人はまばらで、犬の散歩や公園で遊ぶ母子以外出会う事が無い。

それでも蓮は心配し、通勤は専用のハイヤーに乗るようにとしつこく言ってきたのだけれど、ここは心菜も断固拒否して健康の為にも歩く事に決めている。
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