この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
「それで、どうするべきだと龍二は思う?」
蓮は静かに龍二に問う。
「そいつにただ、真実を書いてもらえばいい。」
「独断で、そいつからインタビューを受ければ良いのか?」
「そういう事だ。
あの男は金に困ってる。蓮がその気になれば写真一枚だって億の価値に変わる。そいつに単独インタビューを撮らせて本当の蓮で全てを語る。それを信じるか信じないかは、後は世間の人々次第だ。
だけどファンならば肯定するとは限らないぞ。冷たくてオレ様の蓮が好きだと思ってる奴だっているだろうからな。」
「俺の発言次第って事だな。」
「ああ、それに村上はお前を蹴落としたいと思ってる。そんな奴をどうやって味方に付けるか…全てはお前次第だ。」
その男が書くスクープ次第で全ては決まる。
「賭けだな。
森元がなんて言うか分からないが…下手にこっちから発信して人々の興味を引き立てるより、後々都合が良いかもしれない。」
心菜に害が与えられる事が1番怖いが、本人が語る真実だ。世間だって本物だと認識するだろう。
「分かった、そいつに会う。日時と場所はこっちで設定するからコンタクトを頼む。」
蓮はこの龍二の案に乗る事を決める。
「オッケー。そうこなくっちゃ。
何なら当日立ち会ってやるぞ。俺みたいな仲介役が居た方が平常を保てるだろ?」
「そうだな。龍二を巻き込む事は不本意だが…そうして貰えると心強い。」
蓮が珍しく自分を頼ってくれている。
龍二は驚きと感動にも似た気持ちで、心が満たされるのを覚えた。
龍二とて、いつか当主となった蓮を支えるべくして育てられた男なのだから、これが本来の自分の役目なのだと、やっと今、地に足が着いた気がした。