別れさせ屋の仲間になった私の結末

Card 30 ♥︎ ワルイコト

指定されたのは、学校帰りの公園。

駅と反対方向にある住宅街の、木々に囲われた静かな場所だった。

手書きの地図に記されたバツ印のところへ向かい、草木の影に隠れていると、予定通り、後からキングとターゲットにされた依頼人の女子生徒が姿を現した。

地図のマルで囲まれてあるベンチに腰掛けるふたり。

私は言われた通りにスマートフォンを出して、カメラ機能を操作する。

「……何やってるんだろ」

画面に映る彼らの後ろ姿を見つめながら、つぶやく。

振り返るのは、メモと地図を渡された昨日の放課後だった。


“明日、俺はメモに書いてる順で、ターゲットを連れ回す。地図のマル印のところへ行くから、水城にはバツ印のところから写真を撮ってもらいたい”

キングは、自分たちが親しげにしているところを撮るように言ってきた。

バツ印のところから撮れば、シャッター音は聞こえづらいらしく、実際は顔を近づけているだけでも、キスをしているように見えるらしい。

“あと、ターゲットが笑いかけてきたり、俺に触れるときも必ず撮ること。腕に触れたときとかね”

淡々とした口ぶりで、平然と私に指示を出した彼。

その場にはサキちゃんや美甘くんもいたけれど、ふたりは何も言わず、私たちのやり取りを聞いていた。
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