別れさせ屋の仲間になった私の結末
彼女のようなすごいひとからすれば、今回の私の行動なんて、踏み出せたのかどうかも分からないほどの小さな一歩。

それでも、苦手なことを避けてばかりで、何もしてこなかった私は、これまでより今の自分のほうが好きなんだ。


──数日後、西館4階の会議室に、1、2年の文化祭実行委員が召集された。

「出し物に関するルールなどもそのプリントに記載しておりますので、決める際には必ずクラスメイトへの説明をお願いいたします」

大きなスクリーンの前に立ち、淡々と事を進める生徒会。

言われた通りプリントに目を通してはいるのだけれど、私の意識はずっと隣の席に向いていた。

「……」

相変わらずの猫背。

会議が始まるまで室内は賑やかだったけれど、彼はずっとその席でぽつんと座っていた。

相良宗介として過ごす日中は目立たないように過ごしているらしく、クラスが違う私は声をかけることも許されていない。

だから、隣に腰かけるときも挨拶なんてしなかったけれど、ここに現れたのが美奈じゃなく私だったことを、キングはどう思ったのだろう。

鼻先までの黒い髪で隠された、切れ長の瞳。

その視線を辿ることはできないけれど、彼のことだから、きっと、私の意識が自分に向いていることも感じ取っているに違いない。
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