別れさせ屋の仲間になった私の結末
4階へ向かったとき、生徒会室へ行くんだと思っていた。けれど、キングはその部屋を通り越して、廊下の最奥へと足を進めていく。

そうして辿りついた部屋は、第5会議室というプレートが飾られていて。

「……ひとつだけ」

キングはドアに手をかけてからも、念を押すように言う。

「俺らがターゲットにするヤツらの中には、フツーに、女に手をあげるヤツもいる。この間のような追いかけっこじゃ済まないことだってある。……本当にいいんだな?」

改まってそう言われると、怖くなる。

正直に言えば、暴力をふるうような人は周りにいないから、想像もつかない。

でも、ここで引き下がれば、きっと、私とキングの縁は切れてしまうと思うから……。

「……いいよ」

迷うことなく、こくりとうなずいた。

そんな私をしばらく見つめてから、キングはドアを開ける。

「いらっしゃい」

私たちがいることに気づいていたのだろうか。

奥の窓辺にいた潤さんは、ドアが開くと真っ先に、こちらに向かって微笑みかけてきた。

一礼してから室内を見回すと、大きなダンボールがあちらこちらで積み上げられていて、隙間には長いテーブルや古びた棚が、向きもバラバラで置かれている。

先に中へ入ったキングに続いて、室内に足を踏み入れると……。

「よっ! 元気にストーカーやってる?」

深緑の布地が破れ、中のスポンジが見えている長いソファーで、横になっていた1年の彼がヒラヒラと手を振ってきた。
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