淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
続ける
「どうやら戸倉瑞樹に彼女はいないみたいなんだよね」
あれから2度、同じように戸倉瑞樹の尾行を結構した麻里奈だけれど、彼女の存在を認めることはできなかった。

戸倉瑞樹は休日になるとたいていあの喫茶店でコーヒーを飲み、惣菜を購入するか、昼を外食で済ませて、公園で猫の餌やりをして戻ってくる。

時々映画館へ立ち寄ったり、本屋へ立ち寄ったりするものの、どこにも女の気配は感じられなかった。
それどころか親しい友人と合うようなこともなかった。

これじゃまるで隠居生活をしている年配者のようだと麻里奈が感じたくらいだ。
「そう。それならよかったじゃん」

ビール片手にソファに座ってテレビを見ていた鈴子が言う。
「そうだけどさ! じゃあどうして私になびかないの!?」

麻里奈は飲みかけのビール缶をダンッとテーブルに打ち付け用うにして置いた。
その拍子に少し中身が溢れたけれど、気にしない。

「単純に興味がないってことでしょう?」
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