淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
もう限界に近くて、そろそろ誰彼問わずフェロモンを吐き出してしまいそうな雰囲気がある。
道行く男たちを思い出しただけで麻里奈の本能が熱く滾ってくる。

「このままじゃ私がダメになっちゃう」
「仕方ないよね。戸倉瑞樹は諦めたら?」

その言葉にグッと返事につまってしまった。
戸倉瑞樹の、野花や野良猫へ向ける優しい笑顔を思い出すとやはり胸の奥がギュウッと締め付けられる。

途端に頭の中が戸倉瑞樹一色に染まり、呼吸まで苦しくなってしまう。
麻里奈はよろりと壁に手をついて自分の部屋へと向かった。

「もう寝るの?」
「最近私おかしいの。きっと男経ちをしてるからだと思う」

「あ、そう」
麻里奈は呆れ顔の鈴子を残して自室へと戻ったのだった。
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