淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
戸倉瑞樹の正体
今日は戸倉瑞樹に合わせて出勤なんてしない。
なんだかずっと彼に振り回されている気がする。

だから今日はいつもどおりの、自分の出勤時間に家を出る。
麻里奈はそう決めてジッと布団の中で丸くなっていた。

だいたいなんで私がターゲットのために出勤時間をずらさないといけないのか。
冷静になって考えてみればわからない。

自分好みの男なら誰でもいいのだから、戸倉瑞樹にこだわる必要だってない。
麻里奈は自分にそう言い聞かせながらも枕元の時計がカチカチと秒針を刻んでいく音を敏感に聞き取っていた。

「私は別に、戸倉瑞樹じゃなくてもいいんだから」
布団の中でブツブツと呟く。

カチッカチッと時間は刻一刻と進んでいく。
そのたびに麻里奈の心が焦り始める。

そろそろ準備した方がいいんじゃない?
戸倉瑞樹が出かける時間に間に合わなくなる。
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