淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
そんな風に考える、もう1人の自分がいる。
「だーかーらー! 私は別に、戸倉瑞樹のことなんてどうでもいいんだって!」

ガバッと布団ごと起き上がり、ベッドを抜け出してクローゼットを開ける。
「別に、今日も早い時間に出るのだって、もう習慣になったからだし」

言い訳をしながら手早く着替えをして、メークも終える。
清楚系の服にナチュラルメークも慣れたからしているだけだと、自分に言い聞かす。

「はい。行ってらっしゃい」
ニヤニヤと笑う鈴子に見送られて玄関を出ると、丁度戸倉瑞樹も玄関を出たところだった。

顔を見た瞬間麻里奈の心臓がドクンッと跳ねる。
戸倉瑞樹の顔をジッと見つめていることができなくて、視線をそらせてしまう。

「おはようございます」
だけど今日は相手から挨拶してきたものだから、麻里奈の方がしどろもどろになってしまった。

「お、おはよう、ございます」
緊張して身体が上手く動かなくて手と足が同時に出てしまう。

そんな中で一緒にエレベーターに乗ると、麻里奈はすでに酸欠を起こしてしまいそうな状態だ。
「昨日、餌をやってくれたんですね? ありがとうございます」
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