淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
「デートの予定なんて入ってないわよ」
「またまたぁ」

「本当よ」
疲れ果てた声色の麻里奈に後輩の表情が真剣なものに変化した。

「どうしたんですか先輩。最近変ですよ?」
後輩にまで鈴子と同じように心配されてしまっている。

それくらい麻里奈は毎日遊びまくっていたということだ。
つい最近までそうして遊んでいたのに、その頃の自分を思い出すと懐かしさすら感じてしまう。

「私だって色々あるのよ」
そう言いながら、サキュバスとしての栄養分が不足しているのではないかと感じ始めていた。

ほぼ人間で、悪魔の血はほんの少ししかひいていない。
とは言っても完全に人間でいられるわけでもないので、やはり一定期間男が不足していると身体に変調をきたしてしまう。

そうなる前にどうにかして戸倉瑞樹を落としたかった。
「無理はしないでくださいね」

後輩からのねぎらいの言葉に、麻里奈はもう返事をすることもなかったのだった。
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