最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 ふっ、と視界が少し薄暗くなる。

 その一瞬、青い光が上がったような気もした。

 もう日食は終わったのだろうか。サードは、重たくなる瞼をどうにか持ち上げて思った。スミラギの隣に立ったロイが、こちらを見下ろして話しかけてくるが、よく聞こえない。

 すると、スミラギがこちらに顔を寄せて、耳元で淡々とこう言ってきた。

「サード、これならば、こちらの声は聞こえますね?」
「………………聞こ、えるけど、斬首の件は、どうなって……」
「いいからお聞きなさい。あなたは、ただ【了承した】と口にするだけでいい。そうすれば、好きなだけ眠らせてあげましょう」

 こんな時に、スミラギはいじわるをしたいのだろうか?

 サードは呆気に取られ、勘弁してくれと思った。そう考えている間にも、ひどく眠りたいような感覚に襲われて、更に瞼が重くなる。

 数秒もしないうちに、視界が完全に暗転しかけた。しかし、スミラギが容赦なく「起きなさい」と肩を揺らしてきて、眠りの淵から無理やり引き上げられてしまう。

 頼むからもう放っといてくれよ、と、サードは本気で頭を抱えたくなった。

「……分かった、よ。だから、肩、揺するな…………もう、休ませてくれ……」

 言い終わらないうちに、ふぅっと意識が遠のいた。すると、またしても「起きなさい」と先程よりも強く叱られた。
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