最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 実験体の中で、一際輝く銀髪をしたその少年は、少し考えるように視線を泳がせてコテンと首を傾げた。

「あんたらは、俺が最後の頼みの綱だと言うけどさ。まぁ確かに、俺が最後まで生き残った実験体ではあるけど、失敗したらどうすんの?」
「優秀な成功体であるお前は、失敗しない。悪魔細胞を完全活性すれば、七日七晩は戦える」
「うーん、でもさ、悪魔が目覚めるのはまだ先なんだろう? 途中で編入すればいいのに、なんで入学から潜伏待機しなきゃならないんだ?」
「違和感なく溶け込むためだ。諜報部と連絡が取れても不自然でない立ち場を用意してある。うまく動くんだぞ。裏切れば――」
「裏切るつもりはないから安心しろよ。折角ご指名頂いたんだから、顔も知らない母親に『親孝行』ってのも悪くない」

 破損しなかった臓器はないほど訓練は厳しかった。しかし、少年は世話を焼いてくれた一部の研究者たちの事は好きだった。

 喜ぶべきは、もう仲間や人間を殺さなくてもいい、という事だろう。
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