祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

15 魔物

 旅を進めて目に見えて魔物が強くなって来たので、騎士団の皆さんもそろそろ顔が引き締まって来た。

 特に強い騎士であるジュリアスは一番危険の多い最前線で戦うことが多く、怪我をすることが多くなった。

 そもそもジュリアスは強いので、怪我をすること自体は少ないんだけど……部下とか誰かを庇ったりした場合は、別だった。

「……すみません。聖女様」

 私のことを聖女様と呼び続けるジュリアスだけど、私の方が完全にジュリアスのことを恋人のように接するようになり、周囲の皆さんは恋人同士になったこという風に扱われている。

 今も彼のために甲斐甲斐しく塗り薬と包帯を持って来たけど、これはテントの中で私とキスしたら治っちゃうんだけどね。

 これも。仕方ない。私の祝福はまだ、公式には明らかにはなっていないから。

 というか、さすがに恥ずかしいし、人前ではキスなんてしたくないけどね。

「謝らないで。危険なのに魔物と戦ってくれて、ありがとう」

 ジュリアス。この世界を守るために、自分の幸せを差し置いてこれまで頑張ってくれてありがとう……本当に。

 だって、この世界が滅んでたら、私も来ることがなくてこのジュリアスと会えなかったかもしれないんでしょ? それだけは、絶対に避けたかった。絶対に。

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