祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 しかも、こんなに余裕あって憧れるしかない素敵な団長が傍に居るのに、彼の影響も受けずにあんな子どもっぽい性格になるなんて絶対おかしいと思う。団長みたいになりたいと思えば、近くに良いお手本があるんだし、全部彼の真似をしたら良いと思う。

 それだけで数百倍はマシな人になると思うけど……我が儘俺様全開なエセルバードには、良くなろうという気持ち自体見えない。

 自分の頭の中に思い浮かんだ言いたいことを、何の我慢もすることもなくストレートに言ってるって感じ。

 これって、育ち方がどうとかの問題でなくて、エセルバード個人がこれまでやって来た選択の結果だと思うんだよね。

「いいえ。それは、団長のせいではないと思います。それに、こんなに素敵な団長が傍に居るのに、その影響も受けずにあんな風になるなんて、エセルバード王子の方がおかしいと思います!」

「いえ。とんでもありません……私など……」

「……そうですよ! 団長。僕だって、そう思います」

 微妙な空気の中で苦笑しながら私に否定しようとしていた団長の言葉を遮り、さっき私が手当を手伝っていた若い騎士も同意してそう言った。

< 15 / 123 >

この作品をシェア

pagetop