祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

04 聖女の祝福

 聖女として特別待遇で、他よりも居心地良く用意されたテントの中に篭もっているのも暇だった。

 夕食前にその辺りを散歩でもしようかとしていたら、世界の危機を前にしているという切羽詰まった緊張感のないご一行の、のんびりとした様子が見えて思わず微笑んでしまった。

 世界を救うための旅とは言え恒例のように三桁の回数も続けば、それを仕事にする人々からすれば効率の良い方法がマニュアル化されて定型作業(ルーチンワーク)になってしまうものなのかもしれない。

 王都より魔物が封じられた道筋は定期的に整備され森の中の獣道なんて通ることもないし、平坦な道が続くので私用の高そうな馬車だってあまり揺れない。

 おかげで現代では乗るはずもなかった慣れない馬車なのに、有難いことに車酔いもそれほどでもない。

 魔物は魔物暴走の危険を感じ取り活性化しているらしいから、例の魔物に近付く毎に強くはなるらしい。

 けど、とても強い団長と彼が率いる騎士たちのおかげで、危なげのない旅に不安を感じることはない。

 しかも、これで救世の旅通算四回目になる騎士団長が一緒だし、彼が居れば大丈夫だという絶対的な安心感があるからか、皆和気藹々としてほのぼのと旅を楽しんでいるようにも見える。

 でもよく良く考えれば……魔物を無事に封印しないと、魔物暴走(スタンピード)起きるんだよね?

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