祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「えー! なんでですかー! 私、元の世界に戻るより、それが良いと思ったんですけど!」

 好きになったから迫り過ぎて避けられるという、最悪な事態に悶え苦しむしかない。

 それまではなるべく私と一緒に居たジュリアスは告白した次の日から、騎士団の人たちと一緒に馬に乗るようになったし、食事の時も姿を見せなくなってしまった。

 どう考えても、わかりやすく避けられている。

「まあ、二人の気持ちあっての恋愛ですからね。どちらかが嫌がると、成立しません」

 無表情のハミルトンさんは、ごもっともなことを言った。それは確かに、そうなんだけど!

「少しの間……泣いて来て良いですか……」

「ここは安全なので大丈夫だと思いますが、何かあったら大声で呼んでください」

 そう言ってハミルトンさんは、今日の野営地の近くにある小さな森を指し示した。

 無表情で事務的だけど、彼だって忙しいし団長代理しなきゃいけなくて大変なんだと思う……きっと、薄情ではなくて。

 私はハミルトンさんにお礼を言って、森の中で小さな切り株に座り込んだ。

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