祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

02 好みの顔は罪深い。

 異世界に召喚される直前。

 夕暮れが迫る時刻の大学の講堂の中で、そろそろ帰宅しようかと私は鞄を持っていた。

 誰かに呼ばれた気がしてなんとなく背後を振り返り、次の瞬間には神殿の中で興味深げにこちらを見守る数名に囲まれていた。

 異世界から召喚された私がこの世界の言葉をわかるようになる魔法をすぐに掛けてもらえたり、この世界で魔物暴走(スタンピード)を引き起こす強大な魔物を十年周期で封印せねばいけない必要性についての説明を受けたり、魔物の封印が出来たらちゃんと元の世界に戻して貰えると聞き、私もなるほどなるほどと納得してふた月ほどの行程が予定された世界を救う旅に出ることに同意したところで、はたと気がついた。

 この神官さんたち……異世界から召喚された聖女の扱い方が尋常ではなく手馴れていて、迷いなく事務的でまるで流れ作業なんだけど?

 知らない世界にやって来て戸惑っているはずの聖女への対応は三桁を越してしまうくらいに繰り返された作業なので、効率の良いやり方の再確認(ブラッシュアップ)が進み、辿り着くところまで辿り着いた感のある完成された良い説明だった。

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