祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「別に詳しく言わずとも、顔が赤くなっていてとろけた表情だ……密室で二人、何をしていたか丸わかりだ」

 その時に私がばっと両手で顔を覆ったので、面白くない顔をしたエセルバードはふんっと鼻を鳴らした。

「あれの父親も、俺の母上のことが好きだったはずなのに……なんで、あんな大きな息子が居るんだ……おかしいだろう。自暴自棄になって、その辺の町娘に手を付けでもしたのか?」

「……え?」

 ……ジュリアスが、エセルバードの母親のことを、好きだった……?

 あ。ハミルトンさんもこの前に、ジュリアスと亡くなった王妃は幼馴染みだって言っていた気がする。

 だから、彼女の息子のエセルバードのことを頼まれれば、ジュリアスは断れないのだと。

「ああ。お前は知らないだろうが……ジュリアスは元々母の婚約者だったんだ。だが、父から是非王妃にと乞われてな……母は父と結婚した。それ以来、奴は色恋沙汰は聞いたことがない。皆、母が好きだったのだろうと言っていたがな。あれだけ大きな子どもが居たのだから、とっくに振り切っていたということだろう」

 珍しく頭を使っている様子のエセルバードの話も、私にとっては衝撃的な内容過ぎて何も入って来なかった。

「私……もう、寝ます。おやすみなさい」

「そっ……そうか」

 唐突に挨拶をした私に驚いたエセルバードはその後も何かもごもご言っていたようだけど、私は聞こえなかったふりをしてすぐさま扉を閉めた。

< 61 / 123 >

この作品をシェア

pagetop