祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 団長代理のハミルトンさんは渋い顔をしたものの、たまには良いかと許して貰えた。お堅そうで融通が利かなさそうだけど、割と柔軟に利くんだよね。

 昨日思いがけなく聞いた事実を考えると……救世の英雄であるはずの騎士団長ジュリアスは、馬鹿王子エセルバードに肩入れしているようだ。

 エセルバードは自分勝手で我が儘で手の掛かる幼い子どものような成人だけど、ちゃんと叱って間違った行動を正すようにと言っているのは立場もあるだろうけどジュリアスだけだった。

 なんでも口に出してしまうエセルバードを叱ってはいるけど、理不尽な怒り方ではなかった。理路整然と事実だけ、その悪い行いによって自分が後々にどれだけ不利益を被るかも。

 あれだけジュリアスに言って貰っても、エセルバードはうるさいと一蹴するだけで何も変わらないのに。

 それって……若い頃に王に奪われた、亡くなった好きな人の息子だったから? だとすると、ジュリアスが聞く気なんてゼロのわからず屋に対してあんなにまで甘い理由もわかってしまう。

「……聖女様。いかがなされましたか?」

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