祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「ええ。僕ならば、英雄と呼ばれなくなる程度です。過ちは正されるべきではありますが、幼い子にそうさせてしまった周囲の大人の一人は僕だったんです」

 責任感の強いジュリアスに私は何も言えなくて……そんな二人の間に、しんとした沈黙が落ちた。

「その……ジュリアスは……エセルバードのお母さんのことが、忘れられなかったんですか?」

 どうしてもそこが気になってしまった私がそう聞いた時に、悲しそうな表情をしていた彼は驚いてかぽかんとした顔になった。

 以前、エセルバードはジュリアスと母の二人が婚約者だったと聞いた。けど、父である王に望まれたから、ジュリアスは一人残されてたのだと。

「……いいえ?」

「……え?」

 私たち二人は同じような不思議そうな顔をして、見つめ合っているのかもしれない。

 頭の中に『?』があふれる私はジュリアスはエセルバードのお母さんが好きだったからこそ、貴重なイケオジ独身を貫いていたんだと思っていたんだけど……?

「あの……何故、そう思われたか、聞いても?」

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