祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「そんなにだよ! 嬉しい! ジュリアス好きだったから、帰らなく良くなって嬉しい!」

「本当に……元の世界に帰らなくて、良いんですか?」

 割と真面目な顔をしてジュリアスは私に聞いたので、私も嬉しさにほころぶ顔に精一杯真面目な表情を浮かべた。

「うん……私。ジュリアスがあの時に言っていたことも、ちゃんと考えてた。元の世界は……何の未練がないって訳でもないよ。向こうにしかない楽しみだってあったし、ここまで育ててくれた両親にも感謝してるし、今思うとまた会いたいな話したいなって思う人だって居るよ……この前は、少し大きくして言い過ぎたと思う」

 あの時に自分が言ったことを今思うと、すごく恥ずかしい。どうにかして、悲劇のヒロインになりきっていた。

 私が現代の仕組みにあまり合わなかったってだけで、普通にエンジョイして楽しんでいる人も居るんだから、それってちょっとした考え方の角度の問題ってだけだと思う。

 自分が楽しもうとそう思ったら、きっとなんでも楽しく出来るはず。

 ……私は多分、異世界にこのまま居られる理由付けがただ欲しかっただけ。

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