祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「……辛いことやしんどいことはどちらの世界でも変わらずにあるっていうのも、ちゃんと理解してる……けど、ジュリアスはこの世界にしか居ないなら、私はこの世界を選びたい」

 ジュリアスはこうして間近で見ても本当に飛び抜けて容姿が良いけど、別に彼はその外見だけが素晴らしいって訳でもない。

 優しすぎて二人の子どものために殺人の罪だって、被っちゃう人なんだよ。

 私はこのまま元の世界に帰っても、ジュリアスのことが絶対心配になって……居てもたってもいられなくなる。うん。これだって、言い訳がましい。

 本当に言いたいことは、これなの。

 ジュリアスが好きだから、傍に居たいから……私は自分のために、今後の未来において重大な選択をする。

「……僕で良いんですか?」

「良いよ! 駄目な訳なんでしょ! こんなに素敵で優しくて良く出来た人で、確かに年齢は経てるけどよくわからない理由で若返った人なんて、いくら探したって、多分ジュリアス一人だけだよ!」

「……光栄です」

 そう言って苦笑したジュリアスは、この世界に残りたいと強く望んだ私のことをもう否定することはなかった。
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