祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

14 結界

「ただ、これで懸念材料が増えてしまいました。魔物に留めを刺す聖剣は、現在殿下が持っています」

 ジュリアスは自分に抱きついていた私が満足して身体を離すと、真面目な表情で顎に手を当てつつそう言った。

「え? 聖剣? すごい……やっぱり、あるんだ。すごい」

 私だって召喚された聖女だし、当然なんだけど……本当に、異世界ファンタジーの世界!

 今のところ私から見ると、のどかな旅行でしかないから、そういう救世の旅っぽい雰囲気があんまりない。けど、最終目的として、とても強い魔物を打ち倒さなければならないことに変わりはない。

 留めを刺すための聖剣……箔付けのために連れて行くことになった高貴なお荷物エセルバードは多分、ジュリアスや騎士団の皆さんにほぼほぼお膳立てして貰ってから、最後の一刺しだけって感じになるのかな。

「……? けど、エセルバードだって、この世界が滅ぶと死んじゃいますし……そのくらいは……ちゃんと倒しそうですけど……」

 私はそう思った。だって、魔物暴走(スタンピード)が起こって大変なことになるのは、この世界に生きる全員が一緒なはずだ。

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