99本のひまわり
バラの香りが鼻をくすぐり、目が覚めると私は、お姫様みたいな部屋にいた。天蓋ベッドやドレス、テーブルの上には所狭しと、たくさんの宝石が置いてあった。
(ここは、どこ…?)
立とうとしたとき、私には足がないことに気づいた。でも、気づいたときにはベッドから鈍い音をたてて落ちてしまった。
「リア!」
部屋に知らない男性が入ってきた。びっくりして、身を縮める。男性は、ほっとしたような顔をして安心させるように笑顔になった。
「大丈夫?どこか痛くはない?」
「痛く、ないです…」
なぜか、この人の笑顔がひどく不気味に見えた。底知れない影のようなものが彼の中にあるような気がした。
「あの、ここはどこですか?」
彼はきょとんとした。
「ここは、僕らの家だよ。何も覚えてないの?」
「何も、覚えてないんです。気づいたらここにいて…」
「そっか…」
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