99本のひまわり
彼は少し考えるような素振りを見せた後、また笑顔に戻った。
「僕は、君の婚約者のフィルだ。そして君は、フィリア。やっぱり、何も覚えていない…?」
確認するかのようにまた聞いてきたので頷く。
それから私は屋敷を案内され、私はここで彼と二人で住んでいることを知った。正直、私に婚約者がいたのかも何も思い出せないから、怪しくて仕方がなかった。でも、彼はそんな不安を拭い去るかのように私にいろんなものをくれた。時に、きらびやかな宝石を。時に、美しい華を。時に、情熱的な赤のドレスを。
なぜ赤なのかと聞いてみたら、私が赤をとても好きだったからだという。赤を好きだったのかは覚えてないけれど、赤にはとても惹かれた。
(赤といえば、なんだろう。薔薇、太陽、ルビー…血)
その時、猛烈な喉の渇きに襲われた。
(血、血…あかい、あかい、血)
そうだった。私は、
赤い血が好きだった。
あの、きれいな赤が私には魅力的でとてもほしいもの。
「リア?どうしたんだい?」
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