別れの曲
 自宅へと帰った私は、なるべくいつもどおり涼子さんと接した。
 夢の中で少し、陽向とも話そう。そう強く思いながら、一冊の楽譜を抱いて、眠りについた。

 そして――陽向の元へは行けないまま、朝を迎えた。

 軽くでも相談をして、気持ちを整理してから母を迎えようと思っていたのに。
 そんな時、私にはまた佳乃の顔が思い浮かんだ。
 せっかくの休みの日。躊躇いはしたけれど、私は佳乃にメールをした。

 程なく『暇してるからいつでもおいで』と返って来た。
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