涙は甘いケーキに溶けて

「これ、片付けるね」

 誤魔化すように笑って立ち上がろうとしたら、高瀬が私の手首を捕まえた。

「ダメ、今決めてよ」

 腰を浮かせた高瀬が、空いているほうの手をローテーブルについて、身を乗り出してくる。

 至近距離で見つめ合っても私が逃げ出さないのを確認してから、彼が目を伏せて顔を近付けてきた。

 静まり返った部屋に、置き時計の秒針の音が響く。

 おかしなくらいに、暴れる心臓。じわじわと上がっていく体温。

 クリスマス・イヴ。時刻が0時を回る直前、私と高瀬の唇が重なる。

 触れた彼の唇からは、クリスマスケーキの甘ったるい味がした。

Fin.
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