赤金の回廊 ~御曹司に恋した庶民令嬢は愛に惑う~
「そうか……」
 落胆のため息をついた将周に、千枝華は抱き着いた。
「離れるなんて嫌です」
 将周は千枝華を抱きしめた。
「指輪……今の給料の三か月分でもいい?」
「あなたがくれるなら、一生分の価値があるわ」
 千枝華が答えると、将周は微笑した。
 赤い絨毯のような地面には、ライトによって二人の長い影が伸びている。
 千枝華を抱きしめる将周の手に力がこもる。
 長く伸びる二人の影が、ゆっくりと重なった。

 紅葉が散り、枝を飾る雪が話題に上るようになった。街には赤と緑の飾り付けがあふれ、ジングルベルがあちこちから響く。
 12月24日、千枝華は仕事のあとに将周の一人暮らしのマンションを訪れた。
 将周は微笑して千枝華を迎え入れた。
「いらっしゃい。髪切ったんだね、似合うよ」
「ありがとう」
 千枝華の腰まであった髪は胸元で切りそろえられ、ダークブラウンに染められている。
「すごく寒かったわ。雪が降りそう」
「ホワイトクリスマスになるかな」
 部屋にはクリスマスツリーが飾られていた。しばらく前に二人で買いに行き、二人で飾り付けをしたものだ。色とりどりのオーナメントが下げられており、イルミネーションライトがゆっくりと明滅している。
 将周は千枝華を手料理でもてなしてくれた。
 チキンの丸焼きに、リースを象ったサラダ。フライドポテトにミートローフ、ローストビーフ。チーズの星が飾られ、バラの花のように重ねられた生ハムが乗っていた。蓮根は端を切り落としてまるで雪の結晶のようになっていた。
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