もう一度キミと青春を。

想い人


「花純ーー!!」


ふわっとフローラルの香りがしたかと思えば、ぎゅーっと抱きしめられる感覚があった。


「萌音…。昨日はごめんね」


教室に入るや否や抱きついてきた萌音と、その後ろで安堵の表情を浮かべている真由と律。


3人を見ていると、重い罪悪感に襲われる。


「ほんと、びっくりした。何事もなくてよかった」


「ボーっとしてて帰るの忘れてたって、とんでもねー奴だな」


真由が苦笑いで肩を叩いてくれた。


律はガハハと笑い飛ばしてくれた。


「真由も律も、ごめんね、心配かけて…」


本当に、温かい人たちだ…。


蒼空だけじゃなくて、皆が私に温かく接してくれる。


「ねぇ花純。もし悩んでることがあるんなら、いつでも私たちのこと頼ってね」


「そうだよ。頼りないかもしんないけど、私たち友だちなんだから」


友だち…か…。


「ありがとう。でもホントに大丈夫だよ。ボーっとしてただけだから」


友だちなんて脆いもの、簡単には頼れない。


壊れるのが怖い。


失うのが怖い。
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