ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
 



 大きなおうちだな~。
 気後(きおく)れしちゃうな、と思いながら、あやめは広い玄関ホールの天井を見上げる。

 なんか、この大階段を上がっていくと、コンサートホールでもありそうなんだけど。

 ……同じ大きなお屋敷でも、せめて日本家屋だったら、もうちょっと緊張しなかったかな?

 いや、日本家屋だったら、きっと。
 旧家でじっとりした雰囲気で。

 着物姿の厳格そうなおばあさんとかいて。
 物陰から座敷童が覗いてるよな、と思ったとき、

「おう、家出息子」
と豪快な声がした。

 階段上に彫りの深い顔立ちの大きな男の人が立っている。

 村正の義理の父、桐治(とうじ)だろう。
 休みの日だが、スーツ姿だ。

 そういえば、少し話したら、仕事に行くとか言ってたな、とあやめは思い出す。
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