ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
「どうした?」
 黙って珈琲の木を見ていると、村正がそう訊いてくる。

「いえ、パイナップルのことを考えていました」

 嘘ではない。

 パイナップルの実がなったとき、
「ムラマサ、収穫して」
と頼んでも、この人、きっと、いないんだろうな、と思っていたからだ。

「ところで、それなんだ?」
とムラマサはカウンターにいくつか突き立っているものを指差す。

 さっきから、明日やることを忘れないよう、由良にもらった付箋(ふせん)に書きとめていたのだ。

「……卒塔婆(そとば)か?」

 カウンターの上に付箋がいくつも突き立っていた。

 立つ付箋なのだ。

 見やすくわかりやすいのだが、乱立させると、確かに異様な雰囲気だ。

「なんか墓場っぽくなりましたね、カウンター」

 でもこれ、気に入りました、とあやめは言う。
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