希望の光~たとえあなたが消えても愛し続ける~
好きな人がいる幸せ
「撮影始めようか」


「はい。お願いします」


「お前のその顔とスタイルがあれば、モデルとしてすぐに人気に火がつくはずだから。今日の撮影も頑張ろう、期待してるぞ」


「そうだといいですけど」


「大丈夫、俺に任せろ」


「心強いです、ありがとうございます」


今は、こうしてファッション誌のモデルとしての仕事がある。だけど、残念ながら、それだけでは生活できなかった。自宅マンションの近くにあるオシャレなレストランでもバイトしながら、俺は、自分が本当にやりたいことを探していた。


「笑顔、もっとちょうだい。そう、いいよ、すごくいい」


撮影には少し慣れてきたけど、笑顔を作るのは苦手だった。


なのに……
今は自然に笑えてる。


「どうした? すごく良い顔してるじゃないか。何か嬉しいことでもあったのか?」


お世話になってるカメラマンにそう言われて戸惑った。


「まさか、彼女できたんですか?」


アシスタントの女の子にも詰め寄られる。


「そ、そんなんじゃないですから」


思わず苦笑い。


「じゃあ、好きな人ができたとか?」


質問がさらに続く。


「だから、違いますよ」


そうは言ったものの、全く的外れでもなかった。


今夜、家に帰ればあの人がいる――
そう思うだけで何でも頑張れた。


決して恋人にはなれない人だけど、そんなことはどうでもよかった。
「好きな人」と、ただ一緒にいられるだけで……
それだけで幸せだったから。
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