俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【一瞬の出逢いは、いつか溺愛に変わる】
走ると、白い息が揺れる2月14日の寒い日。
世間では、バレンタインで賑わう日。
彼氏のいない私は、転職活動初の面接がある。

早めに家を出たのに、電車が遅れるなんて・・・
初めて訪れる場所に、同じような外観のビルが建ち並び、どこのビルか迷う。

どうしよう・・・携帯のナビだと、ここら辺なんだけど・・・
キョロキョロ見渡しながら、小走りで探していると、誰かにぶつかってしまった。

「す、すみませんっ!」
ぶつかったのは、キャメルのトレンチコートを着た男性で、見ると手の甲を押さえている。

「だ、大丈夫ですか?」
「こちらこそ。君は大丈夫?」
「はい、私は大丈夫ですけど・・・」
その人が、右手で押さえていた左手の甲を見ると、少し赤くなっている。

ち、血が!私のカバンの金具が、当たったんだ!
「た、大変です!ち、血が出てます!早く、病院に行かないと!直ぐ調べますね!」
急いで携帯を取り出して、近くの病院を探した。

「慌てなくていいよ。大丈夫だから。君、急いでいるんだろ?」
「あっ、はい・・・実は面接でして・・・」
「それは早く行かないと。本当に大丈夫だから」
「いえっ!お怪我をさせておいて、そのままなんて・・・」
「すり傷だし、私もよそ見をしていたから、お互い様だ。君に怪我が無くて良かったよ」
「本当にすみません・・・あっ、ちょっと待って下さい!」
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