俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【誤解が招いた、溺愛オフィスラブ】
夏の陽射しが照りつける季節。
公私共に、一緒に過ごす柊弥さんとの日々は、幸せ過ぎて怖いくらいだった。

今日は、山下機器工業の人達と一緒に、皐さんの先輩がいる、工業大学に行く事になっている。そこに、私も同行することになった。

山下機器工業は、開発部、製造部の部長と、もちろん皐さんが来る。

「花純。この書類、ページの抜けが無いか確認したら、綴じてくれる?」
「はい、準備しますね」

2人でいる間は、会社でも『花純』『柊弥さん』と名前で呼んでいる。
初めの頃は慣れなくて、突然、人が来た時に、油断して「しゅっ・・・副社長」「かっ・・・青野さん」とお互い何度も、ヒヤッとする場面があった。

「そろそろ出掛けようか。直帰するからそのつもりで準備して」
「帰り、買い物に行きたいんですけど・・・」
「いいよ。最近、花純の作る食事が美味しくて、外食しないから、毎日疲れないか?」
「いえ、とても楽しいので」
「それならいいんだが・・・じゃあ、今日も頼むよ」
何気ない会話が、彼女なんだと改めて感じて、幸せがいっぱいだ。

車に乗って、約束の時間前に工業大学に着くと、既に皐さん達が着いていた。

「皆さん、お待たせしました」
「私達も、今着いたところだから。青野さん、こんにちは」
「今日は宜しくお願いします」
やっぱり、女性の私でも憧れるほど、聡明さと凜とした姿に目を奪われる。

「柊弥君。先輩から連絡があって、ドイツから、医療関係の大学教授が来日してるらしいの」
「それはラッキーだね。色々話を聞いてみたいけど、時間取って貰える?」
「そのつもりで、先輩にはアポとってるから大丈夫よ」
「さすがだね、皐さん」
「まぁね。柊弥君なら、きっと会いたいって言うと思ってたから」
皐さんが元気よく答えていた。

幼馴染みの2人が楽しそうに、時に、真剣な顔で話をしている中に、付いていけない。
もちろん、入り込むことなんて出来ない。
仕事だから当然、と分かりつつも・・・
皐さんには嫉妬してしまう。

どんなに体を重ねて愛されても、愛してると言われても・・・
二人の間には、何か特別な関係を感じ、胸が締め付けられる。
私はただ、2人が話す後ろに付いて歩いた。
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