俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
過去の和弥との出来事なんて、すっかり忘れていた。
もし、和弥が日本に帰国して、容姿が俺そっくりな和弥の優しさに触れたら・・・
花純はどうするんだろう。

「柊弥、久しぶり!あれっ?木下さんは?」
「5月末で退職したんだ」
「じゃあ、秘書はいないの?大変だね。まっ、柊弥はほぼ自分でするから、大丈夫だね」
「いや、秘書はいるけど・・・紹介するよ。もうすぐ戻って来る」
すると、ドアが開いた。

「戻りました。・・・あれっ・・・柊弥さんが2人?」
「柊弥?」
「あっ!」
「ふーん、そういうことね」
「すみません・・・えっと、専務ですね。副社長の秘書の青野です」
油断して名前を呼んた花純は、バツが悪そうに俺の顔を見た。

「いいよ、言うつもりだったから。和弥、青野さん、花純は俺の彼女だ。もう同棲している」
「秘書の彼女と同棲か。いいねぇ、いつも傍にいるって」
「仕事とプライベートは分けてる・・・とは言い切れないか」
花純は、恥ずかしそうに、帰る準備をしていた。

「あの、定時過ぎたので、私、先に帰りますね」
「今日の夕食はいらないよ。和弥と食事して帰るから」
「分かりました。では、専務。お先に失礼します」
「明日から宜しくね、花純ちゃん。あっ、僕のことは和弥でいいから」
「は、はいっ、では、和弥さん。失礼します」

急に名前で呼ばれて戸惑いながらも、花純は笑顔で部屋を出て言った。

和弥さんか・・・
花純が他の男を名前で呼ぶと・・・
例え弟でも、嫉妬する。
まして、相手が和弥となると、尚更だった。
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