女子高生と同居することになった!

6話。10年前に君に言えなかったことがあったから

6話。10年前に君に言えなかったことがあったから

レンはあかりと別れた後、家に帰った。 弘大入口駅から近いところにあるレンの家は、10年前の時間に戻ったことを示すように、建物自体がはるかにきれいだった。 もちろん、室内もずっときれいだった。

レンはソファーに一人で座って考えた。 あれほど恋しがっていた、死ぬ瞬間まで忘れられないようだったアカリに再会した。

-本当にその時の姿そのままだね。

二度と会えないと思っていたアカリに会っただけでも、夢の中をさまよっているような気分だった。

レンは夢ではないことを望んだ。 しかし、携帯電話に入ってカレンダーを確認してみると、ちょうど10年前の4月末であることが分かった。 レンはリナが言ったように、10年の歳月をさかのぼって過去に来たのだ。

二度と会えないと思っていたアカリに会うなんて···死ぬまで忘れられないようだったアカリに会うなんて、まだ少し前にあったことが現実だという気が全くしなかった。

たとえ携帯電話番号を受け取ることはできなかったが、それでも翌日会うことを約束したので、何か期待感とわくわくする気持ちが心の中にあった。

考えてみれば高校時代にもアカリとお互いの携帯番号は知らなかった。 ただ映画鑑賞部の副活動を共にしながら名前と顔だけを知って過ごす間柄だっただけで、携帯電話番号を交換するほど親しい間柄ではなかった。 だからといってレンがアカリに心を告白したこともなかったため、レンはアカリの記憶に強烈に残る理由がない存在だった。 ただ名前と顔を覚えているだけでも幸いなほどだった。

翌日の午後になると、レンは早くから自分が通っていた学校の方へ行った。

「学校の中に入ったらアカリだけでなく、10年前の友達がそのままいるだろうか?」

レンは気になる気持ちもあったが、あえて学校に入ることはなかった。 今、レンは高校生ではなく28歳の成人の体であるため、学校の中を歩き回ったり、学校の周りをうろついていると不審者と間違われかねない。

レンは学校の周りをちらりと見て回り、バス停に向かった。 停留所の椅子に座っていると授業が終わったのか、生徒たちが三々五々と群れをなして校門から出始めた。

生徒たちはそれぞれさまざまな方向に散らばったが、レンが待っているバス停の方に歩いてくる生徒たちもいた。 レンは生徒たちの顔を注意深く見た。 中には知り合いの顔もあった。 しかし、その学生たちはレンの10年後輩ではなく、レンと同じ年頃の学生たちだった。 レンは間違いなく20○○年の世界にタイムスリップして20××年の体のまま来ていた。 校舎もそのままで、生徒たちの制服も10年前のままだった。

バス停の方に歩いてくる学生たちの中にちらっと思い出す顔があったが、どうせレンを見分けることができないので気にする必要はなかった。

レンの関心はすべてアカリに集中していた。 しかし、あかりの言う通りなら、おそらく掃除当番のような任された仕事があるのか、前日のように生徒たちがウル抜けて下校時間が過ぎた後にバス停に来るに違いなかった。

生徒たちが下校している30分前後の時間がレンにはあまりにも長く感じられた。 もうすぐアカリに会える。 前日のようにぎこちない状況ではなく、目の前で対話できるのだ。 でも、いざアカリに会うことを考えると、何を言えばいいのか分からなくなった。

「私について何と説明すればいいかな? 私が10年後の世界から来たと言ったら信じるかな?
そんな映画の中で起こることが自分に起こったと言えば、信じるはずがなかった。 しかも、アカリとレンは10年前も親しい間柄ではなかった。 ただ誰にでもありふれた存在である、顔と名前程度だけを知っている間柄だっただけだった。

忘れられない存在渡辺あかり。 アカリに会うのはあまりにもわくわくすることだったが、どう話せばいいのかを考えると途方に暮れていた。

校門を出る生徒たちの足取りがほとんどなくなった時、レンは時間を確認した。 午後3時50分だった。 前日もその時間頃にアカリに会ったことを考えると、もうすぐアカリが校門から出てくることが予想できた。

案の定校門を出るある女子高生の姿がレンの視線に捉えられた。 制服を着てカバンを背負ってゆっくり歩いている女子高生はアカリだった。

あかりは横断歩道に行って立ち止まり、信号が変わると道を渡った。 そしてバス停に向かって歩いてきた。 アカリとの距離が近づくほどレンの心臓の鼓動音が大きくなった。

アカリと目が合うと、レンが立ち上がって先に話しかけた。

「いらっしゃいましたか?」
「はい、お待たせしましたか?」
「いいえ。」

レンはわざとそう答えた。 それからバス停の椅子を指差しながら言った。

「ここにちょっと座りますか? それともカフェでも?…」
「ここも大丈夫です。 天気もいいですからね。」

レンはアカリと並んで座った。 ところが、ぎこちなくて言葉が出なかった。 するには10年前にもアカリと話す時はいつもぎこちなかったが、今は大人の体でアカリのそばにいるからもっとぎこちなくなるしかなかった。

気まずい沈黙が続いた。 そして、その時間はとても長く感じられた。 レンとアカリは並んで座っていたが、前を見ながら何も言えなかった。 もしかしたら、お互いに向き合えずに前を見て並んで座っているのが幸いだという気もした。

「ところで…···…」

あかりが沈黙を破って話しかけた。

「私に聞きたいことは何ですか?」

いざアカリが聞くと、レンはどう答えたらいいか困った。 レンはしばらく考えてから答えた。

「私の言葉を信じるか分かりませんが、必ず言いたいことがあります。」
「それは何ですか?」
「あの、本当は…···…。」
「え?」
「実は…···…。」
レンがなかなか話せないと、アカリはじっと待っていた。 レンはアカリの方を振り返りながら再び話した。

「たぶん私の言うことがまったく信じられないでしょう。 でも嘘をついているわけではありません。」
「何か言ってみてください。」
「私は実は未来から来ました。」
「未来からですか?」
「ええ、10年後の世界から来ました。 本当に呆れますよね?」

あかりはれんの話を聞いて返事がなかった。 確かに、本当に呆れるだろう。 気の抜けた奴と言われなければ幸いだろう。

しかし、あかりは何も言わずに尋ねた。

「ところで、なぜ私を訪ねてきたのですか?」
「それは…···」
「未来の世界から来たことが事実なら、私を訪ねてきた理由があるんじゃないですか?」
「う~ん…···信じられませんが、私は実は芹沢蓮です。」
「芹沢蓮ですか?」

あかりは驚いた目でれんを見た。

「はい。一緒に映画鑑賞部の部活動をした芹沢蓮です。」

あかりはしばらくレンを見て言った。

「もしその言葉が本当なら、なぜ私を訪ねてきたのか気になります。」
「それは…···…。」

レンが答えられずにいると、アカリが再び言った。

「そして、体は大人ですが、本物のレンが正しければタメ口で話してください。」

レンはそうすべきだと思った。 10年前にアカリと親しい間柄でもなかったし、たくさん話したわけでもなかったけど、話す時ははっきりタメ口で話してたから。

「私、本物のレンだよ。 だから君もタメ口で話して。」

あかりはしばらく黙っていたが、短く答えた。

「そうするよ。」

その答えはレンの言葉を信じているようで,レンはとても喜んだ。 ずっと前に見える学校の塀だけを眺めていたが、アカリの方に視線を向けたところ、ちょうどアカリもレンに視線を向けながら2人はお互いに目が合った。 レンはアカリと目が合った瞬間、本当に10年前に戻った感じがした。

今の体はそのままのまま10年前の世の中にタイムスリップしたが、心だけは本当に10年前のあの時と変わらない気がした。 表向きだけで20代後半の青年で、心は10年前の口数が少なかった高校生だった。

「私を訪ねてきた理由は何?」

あかりの質問に今度は答えざるを得なかった。

「気になってた。 卒業後に君が行方不明になったという知らせを聞いたんだ。」
「誰が言ったの?」
「ただの学校の友達が言ってた。」
「だから心配だったんだよね?」
「心配にもなったし、その時一緒に部活動をしながらもあまり話もできなかったことも後悔したんだ。」
「そうだったんだ。 今は何してるの?」
「今?」
「10年後の世の中から来たんだって? だから10年後に何をしているのか知りたくて聞いたの。」
「プロ野球団スカウトだよ。 何年も働いてやめたとたんタイムスリップするようになったの。」
「スカウトなら?」
「選手をスカウトする役割だよ。」
「君が野球に興味があったんだね。 全然知らなかった。」
「まあ、そんな顔出しもしなかったし、君とあまり話をたくさんしてみる機会もなかったから。」
「確かにそうだね。 一体どうやってタイムスリップして来たの? 私は今も実は信じられないけど、あなたを見ると信じないわけにもいかないし…···…」
「誰かと駆け引きをしたの。」
「何の駆け引き? 誰と?」
「これもどうせ言うと信じられなさそうなのに自分を時間天使だと言う女に出会った。 いや、正確に言えばその女性が私を訪ねてきて声をかけた。 全部話すにはちょっと複雑だけど、とにかくタイムスリップが可能だという話に10年前の世の中に来てあなたにまた会いたかった気がした。」
「どうしてよりによって私に会いたかったの?」
「それは…···…10年前に君に言えなかったことがあったから。
「どういうこと?」

あかりは気になる表情でれんを見た。 しかし、レンはどうしても口が離れなかった。

「どういうことかというと…···…。」
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