極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
シリウスを見つけに
実家から帰ってきてからは幾分気持ちも持ち直して、前向きに次の就職先を探すため職安に通っていた。

けれどなかなか条件の良い職場は見つからない。見つかるまでどう過ごそうかと考えながら歩いていたとき、アパートの前に見たことのある高級車が停まっているのが目に入った。

その車を見た途端ドクドクと鼓動が跳ね上がった。

「美詞!」

私を見つけた朝日くんが運転席から飛び出てきた。近づいてくる彼を真正面に捉え足が止まってしまう。

「よかった。見つけた」

彼は目の前まで来ると安堵したように微笑み、そしてすぐに困った顔をした。

「前に約束した屋久島、これから一緒に行こう」
「――っ」

断ったはずなのになにを言ってるのかと動揺して、瞬きが多くなってしまった。

「これで最後にする。もちろん美詞には何もしないって約束する。ただ一緒に屋久島に行って欲しいだけなんだ」

そんなことを言われても簡単に頷くわけにもいかない。

「これで最後にするから。お願いだ」

縋るように懇願してくるその切羽詰まった表情に、なぜか強く拒否できなくなってしまう。
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