極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
「その時、音羽くんが何を伝えたかったのかは聞けなかったけど、それ以降音信不通になっちゃったし。だから今あの子どうしてるかな〜ってこれ見て思い出しちゃった」

母は笑いながら話してくれたけれど、私と朝日くんが再会して交際を申し込まれたうえ断ったなんて知らないはずなのに、なんてタイムリーな話をしてくるのかと胸の奥がギュッと痛くなった。

「とまあそんなことより、一応このアルバム置いておくけど欲しかったら持って帰ってね。もう部屋がぐちゃぐちゃだから整理したくて。他に要らないものないかここにいる間確認してくれない?」
「……うん、わかった」

母は言うだけ言って自室に戻っていった。私は縁側に座ったまま手にしたアルバムを捲ってみた。

大きな口を開けて肩を組んで笑い合う朝日くんと私。それ以外にも小学生の時の思い出の写真には必ず二人で写っている。それほどいつもくっついていたのだ。

そんな昔から朝日くんは私を想っていてくれたのだろうか……。

ページを捲りながら微笑み合う子供の頃の私たちは、ただキラキラと輝いていて楽しそう。

写真にうつる屈託のない無邪気な二人を見て、鼻の奥がツンと痛くなった。
< 55 / 64 >

この作品をシェア

pagetop