ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
文机はすでに半分ほど水に浸かっていて、そこから下だけ濃い焦げ茶色になっている。

視線を泳がせていると文机の上にあるペン立てに引き寄せられた。

それは牛乳パックの側面にキレイな和紙を貼り付けてを再生したもので、昔祖母の家にあったのを思い出させた。

本来なら懐かしい気持ちになるところだけれど、今の梨乃にそんな暇はない。

梨乃はそっとペン立てに手を伸ばして、そこにあった大振りなハサミを手にしていた。

文秋はバッドでゾンビを殴ったと、自分を嫌悪していた。

その時の感触がまだ残っているのだと、恐怖にふるえていた。

自分にもそんなことができるとは到底思えない。

でも……やるしかない。



梨乃はハサミを握りしめてソンビへ視線を戻した。

ゾンビはまっすぐに梨乃を見つめている。

どうやらゾンビはターゲットを梨乃に決めたみたいだ。

梨乃はゴクリと唾を飲み込んでゾンビを見つめる。

ボロボロの服に縮れた髪の毛。

皮膚もところどころ剥がれ落ちて黒ずんでいる。

これは人間じゃない。

人間じゃないんだと、何度も心の中で自分自身に言い聞かせる。

やがてゾンビが大きく口を開いた。

中から真っ赤な舌と長すぎる犬歯が覗く。
< 74 / 179 >

この作品をシェア

pagetop