ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
文秋の反対を押し切ってネジを回す。

けれどネジはしっかりと奥まで差し込まれていて、そう簡単には緩まない。




「私も手伝う」




そうしている間に春美が隣にやってきて、同じように親指の爪でネジを外し始めた。

爪がギリギリと傷んで今にも剥がれてしまいそうだ。

だけど手の力を緩めることはできない。

こんなところで、まるで実験台みたいにして死んでいくなんて嫌だ。

私達にはまだまだやりたいことがあるんだから。

梨乃の脳裏にはいつもの学校風景が流れていた。

長い廊下を走る生徒たち。

たいくつな授業で寝てしまった時。



放課後になると途端に元気になって遊ぶ生徒たち。

そんな、珍しくもない風景が懐かしく感じられる。

戻りたい。

今すぐにでもあの生活の中に戻っていきたい。

チリッと痛みが走って親指の爪の端に血が滲んだ。

次いでピリピリとした痛みを感じて手を引っ込める。

春美も懸命にネジを回そうとしているけれど、うまく行っていない。
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