あなたには言えない

10.自分の気持ちに気づいた

私の誕生日パーティーがひとしきり終わり部屋へ戻った。

陸玖も部屋に戻ったようだった。
私はバレッタとピアスの入った箱をもって、陸玖の部屋をノックした。
「陸玖、ちょっといい?」
私はドア越しに声をかけた。

「うん、いいよ。」
陸玖がドアを開けてくれた。

「これ陸玖がくれたんだよね?ありがとう。」
私はお礼を言った。

「うん、この前、美月が欲しそうに見てたから!」
私は驚いた。
見られていたとは思っていなかったからだ。

「見てたんだ。ありがとう。大切にするね。」
私は喜びを隠しきれずはしゃいだ様子で言った。
陸玖は照れたように「あ、うん。」と言った。

「陸玖。もしかして去年の手袋や一昨年のハンカチとかも陸玖がくれたの?」
11歳の誕生日以来、毎年プレゼントが机におかれていたのだ。
でも私はずっとお母さんがくれていたものだと思っていた。

「そうだよ。11歳の時から俺が置いていた。
美月に嫌われているから、直接渡されても貰ってくれないと思って。」
と陸玖は笑いながら言った。

「知らなかった。ごめん。毎年くれてたのに、お礼も言わないで。ありがとう。」
私は自分の不甲斐なさ、鈍感さにイラっとした。

「全然いいよ。気にしないで。もらってくれてただけで十分。」
陸玖は笑顔でそう言って、私の頭をポンポンとした。

私はドキッとし鼓動が高鳴った。
「た、大切にするね。」
これだけを言うので精一杯だった。

私は部屋に戻り、改めて自分の気持ちに気づいた。
正確に言うと、気づいていたけど気付かない振りをしていたと言ったほうが正しいだろう。

私は『陸玖が好き』
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