あなたには言えない
家に帰るとお母さんが夕食を作ってくれていた。
「ただいま」
「おかえり。もうすぐご飯できるから、降りてきてね。」
私はすぐに2階の自分の部屋に行った。

部屋の机の上には、お金の入った封筒と箱が置かれていた。

毎年、お母さんが誕生日に机の上にお金とプレゼントを置いておいてくれるのだ。

『ありがとう。』
と思いながら箱を開けてみると、
数日前に陸玖と買い物に行った時に見たバレッタとピアスが入っていた。

さすがにお母さんが用意したものではないことがわかった。
しかし陸玖はまだ帰ってきていない。
モヤモヤしながら、ダイニングに行った。

お父さんも帰ってきていて、3人でごはんを食べ始めた。
私の大好きな唐揚げとサラダとコーンスープ。
お母さんは私の大好物を知っていて、わざわざ作ってくれたのだ。
「美味しい。いつもありがとうございます。」
私は感謝でしかなかった。

10歳の時に引き取ってくれて5年間、必ず誕生日をみんなで祝ってくれている。

今年は陸玖がいないけど、いないことよりもバレッタのことが聞きたくてうずうずしていた。

「ただいま。ごめん。遅くなった。」
陸玖が帰ってきた。
「おかえり。」
陸玖は慌てて部屋に行った。

私たちは食べ終わり、お母さんがケーキを出してきた。
陸玖がダイニング来た。
ろうそくに火をつけて、誕生日の歌を歌ってくれた。
「ありがとう。」
私は今年も幸せに誕生日を迎えられたことに、改めて感謝をした。
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